02年6/1,2日の二日間,新宿京王プラザホテルで,アシスタントドッグ育成普及委員会主催の「第1回トレーナーセミナー」を受講してきました。盲導犬,介助犬,聴導犬関係者,獣医学関係者などが40人ほど参加していました。トレーナーじゃないけど参加させてもらい,勉強になりました。ななちゃんにも会ったし。(^▽^)
 それぞれの団体からパネリストが講演し,そのあと質疑応答がありました。
一番気になった話は関西盲導犬協会さんで,盲導犬9団体と韓国など,国組織の枠を超えた取り組みをしていこうという「アジア・ガイドドッグ・ブリーディング・ネットワーク」を発足させた内容でした。盲導犬として,健康でいい犬がいないということから始まったそうです。
英国では,盲導犬にワーキング系だけを使用するのでほぼ問題がないそうで,それに比べて日本では,遺伝的疾患が多いということだそうです。これって,必要なことだろうな。


 Susan Duncanさんの講演さて,二日目はスーザン・ダンカン女史による講演を聴講しました。
スーザン・ダンカンさんの介助犬(以下SD)のリンカーン(ゴールデン♂)は,それは見事な大きさでした。
彼女の障害は,筋肉や視力の低下,発作が起きるなどです。複数の障害を持っていて,自分に合ったSDと出会うことができなかったため,自分でSDのトレーニングをしました。リンカーンがいなかった時期は,車いすを使用していたこともあったそうです。でも今は,杖をついてリンカーンと一緒にあちこち講演をしています。
もうそれだけ聞いただけでも,SDがいかに彼女の可能性や自立や社会参加に関わる大切なパートナーかがわかります。

 本当にそうだなと思ったのは「トレーナーは,ハンドラー(この場合,障害者)が受け取ったSDを生涯にわたって,きちんと扱えるようにしなくてはならない」というところでした。
例えば,トレーナーがトレーニングにクリッカーやフードやオモチャを使った場合,ハンドラーにSDを渡したとき,クリッカーやフードやオモチャを使わないと言うことをきかないのもいけないそうです。
 トレーナーの言うことは良く聞くのに,飼い主や家族のいうことは聞かないってパターンがあってはならないということですね。そういうことにならないよう,ハンドラーの教育もする必要がある。そのためには,そのハンドラーの障害がどのようなものか,どういう可能性があるのかを把握していなくてはいけないわけです。

そのほか,
・SDが社会に対して迷惑をかけない状態になってなくてはいけない。
・例えば,15頭トレーニングして8頭残った場合,どんなことをしたか,どれくらいの時間,お金を必要としたかなどを記録管理し,きちんと評価すること。他の人にもそれを示すことができること。(ある作業が,SDに負担をかけているかどうかを獣医師などにアドバイスしてもらうためにも記述しておく。)
・障害を持った人の可能性を拡大していくこと。
・一般のトレーナーではなく,何故SDのトレーナーなのか,その価値の自己認識をしっかり持つ。などなど。


 SD(サービス・ドッグ)ではなくて,SA(サービス・アニマル)のびっくりした話をひとつ。
1990年に制定されたADA(アメリカ障害者法:「障害者の公民権法」ともいわれ,雇用や交通機関,公共的施設の利用,言語,聴覚障害者の電話利用など,あらゆる分野で障害者への差別を禁じ機会平等を保障している法律)では,SA(サービス・アニマル:障害を補うために訓練された動物)の種類も問わないそうです。
 SAとしては,ネコ,ミニホース,ブタ,サル,イグアナ,フェレットなどもいるらしいのです。しかし問題はかなりあって,例えば
・冬のニューヨークの地下鉄にイグアナを乗せることは,果たしてイグアナにとってどうなんだろう?
・アライグマの予防薬等がないことから,人畜感染症はかなりの問題になるのでは?
・サルをSAとして使用する場合,サルは手も器用に使うが歯も使うため,噛む(ユーザーにも,他の人にも)危険性が高いので,サルの歯を抜かなければいけない。トイレの躾が非常に難しい。オムツをしていて,オムツに手を入れるので,不衛生。犬よりも数倍の速さで家の物を破壊する。トレーナーが電気ショックで躾ることが多い。

以上のことからわかるように,訓練できるからなんの種類でもSAとして使ってよいのか?ユーザーにとって,社会にとって,動物にとっていいのかを考えないといけない。野生動物はトレーニングしてどれだけ定着するのか,うまくいかなかった場合,野生に戻すのが難しいので,どうするかも考えないといけない。。。
 問題が山積みだね,これは!ん〜,たとえコンパニオン・アニマルといえても,サービス・アニマルっていえるのかなぁ。?


最後に,これはぜひ日本でも早くそうなって欲しいお話。
「(SDを)触っていいですか?」と聞かれたとき,ハンドラーは先生になる必要はない。「仕事中なので触らないでください。」などと言う必要はないということです。それには,SDを知っている人や親や学校の先生などが,知らない人に話をする=啓蒙活動がいかに大切かがここではっきりわかりました。 ソーシャライザーの立場としてこれならやっていけそうです(^-^)!


 もう一つおまけに,大笑いしてしまった話。
「ダンカンさんとリンカーンは一緒に飛行機に乗ってきたわけですが,フライト時間が長いですし,彼のトイレはどうしていたんですか?」という質問に対して,[His tank is BIG !!! ] こういうのだけは,英語でもわかっちゃうんだなぁ〜(≧m≦)

※無責任ないいわけ:話を聞き取るのが大変でした。もちろん日本語の通訳なのです。聞き取りが大変ということは,メモを取るのはもっと大変で,尻切れとんぼが。。。と言うわけで,ここに書いた文章は,とりあえず最後までメモってるものだけを載せました。
でも,聞き間違えていたら,ごめんなさい。m(_ _)m 2002.6/7




ウィンドウを閉じる
 つぎへ