アメリカで卑劣なテロ事件が起きた。インターネットでの誤報や,詐欺まがいのHPもあってとても悲しい。その中で明るいニュースといえば,救助犬の活躍と盲導犬のユーザー救出の話だった。視覚障害を持つ方にとって,周りがパニックになっている状況を音で判断するというのは,大変不安なのではないだろうか。その不安をきっと盲導犬は察知していたに違いない。犬本来の守ろうという本能が,ユーザーを安全な方へ誘導しようと促して,階段を一歩一歩踏みしめて,彼(盲導犬)の仕事を果たしたのだ。

 日本は,道路交通法で盲導犬を「杖」と定義づけているそうだが,本物の杖は不安を察知してくれないし,自らここは危険な場所だと判断もしてくれない,安全な場所へも誘導してくれない。介助犬や聴導犬も同じように,彼らはユーザーの命を守る献身的な伴侶なのだ。

 ところで,5月中旬に「介助犬法案,今国会提出へ」という報道を,毎日新聞が取り上げていて,「いよいよ法が成立される,盲導犬と同じように認められるんだ」と思っていたので,正直とても嬉しかった。
が,しかし。。。。

 介助犬法案では,育成団体として認められる条件として「公益法人の資格を有する団体であること」を定義している。公益法人とは「宗教,慈善,学芸その他公共の利益を目的として,営利を目的としない法人」具体的には,社団法人,財団法人,社会福祉法人などのことを指す。日本聴導犬協会が取得したNPO法人とは,設立のための条件や社会的な立場,規模も全く異なる。設立するための費用も億単位かかるらしい。この法人格を持つのは,各盲導犬協会やアイメイトなどの9団体。介助犬,聴導犬関係では,現在のところどこもこの法人格を取得している育成団体はない。法案が国会で通れば,JR西日本で乗車を認められた岸本さんの「みかん」も,JAS(日本エアシステム)で同伴搭乗を認められた澤和さんの「かよ」も聴導犬として認められなくなってしまうおそれがある。
いったい何のための法律なんだろう。。。


聴導犬候補の「たま」です,よろしく! そして「アシスタンス・ドッグ」(以下ADと略)の定義を確立していないことも問題だと思う。アメリカやヨーロッパでは,ADに関わるユーザー,トレーナー,育成団体までもスタンダードを決めている。というのも,アメリカでもスタンダードが決まっていなかった頃は,様々なレベルの育成団体,トレーナー,ユーザー,ADがいてトラブルがあったからだ。その結果として「国際アシスタンス・ドッグ協会」(ADI)が生まれた。
 日本でもADIのような認定してくれる組織があれば,個々のユーザーが各公共機関にそれぞれの許可を得なくても使用できるのではないかと思うのだ。  あぁ〜〜〜歯痒い!   2001年9/18








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