ASSISTANSE DOGSにしてはいけないこと
してほしいこと

【くろいぬ 東京編 日記】:より一部転載(ゆっきーさんのご厚意に感謝)

 さっき、駅からタクシーで帰宅した私とニッキー。車内に乗り込んだ途端、偶然にも無線で「盲導犬を乗せたら車が毛だらけになった」という言葉が聞こえた。どきりとした。
「毛が沢山落ちたよ。ブラシぐらいかけてないのかね」
 どれくらいの抜け毛を「沢山」と感じるかは人それぞれにしても、本当に嫌そうな声だった。多分この人は犬が嫌いなんじゃないか、とも思った。嫌いなものを好きになれとは言えない。
 もし本当に、ブラシもかけないユーザーがいたらそれは非難されるべきかもしれないけれど、運悪く犬嫌いな人と、犬の手入れが下手なユーザー(もしかしたら洗い立てで毛が抜けやすい状態の盲導犬?)が出会ってしまっただけなのかも。
 この無線を聞いたドライバーやタクシー会社の人がどう思うのかが心配だ。「盲導犬ユーザーは目が見えないから犬の手入れも出来ない」と思って乗車拒否する人が増えたら悲しいと思う。勿論手足の不自由な介助犬ユーザーに対しても(乗り込みを介助したり車椅子を積んだりする手間があるから余計に嫌われそう)。
 そしてもっと悲しかったのは、その次に続いた言葉だった。「情けをかけて損したよ」と、はっきり無線のドライバーは言った。
 盲導犬を乗せることって、「情けをかける」こと? 目の見えないお客が白い杖を使っていても盲導犬を使っていても、目の見えるお客と同じように乗せるのは当たり前じゃなくて、「情け」なの?
 日本のバリアフリーってこの程度なのかな。3年ぶりに日本の電車に乗って、駅のバリアフリーが進んでいるのにびっくりしたんだけど、結局「カタワに情けをかける」「自分より弱い人に手を差し伸べる」という感覚は変わっていない気がした。最初から乗車拒否をする方がずっと対等な手段だ。・・・

ADI(Assistance Dogs Internatinal)のIDカードを持っているゆっきーさんと介助犬ニッキーくん。ゆっきーさんの日記を読むと,彼女が私の想像を超える工夫や努力を日々行っていることがわかります。その日記の中でも,とても気になった文章がありました。
 この日記を読んだとき,とても悲しかったし,やっぱりそうなのか。。。と思いました。日本人は,「情」で考える人が多いのだなあと。
 
 ユーザーさんにとって盲導犬は「目」の代わりだけではありません。聴導犬は「耳」の代わりだけではありません。介助犬は「手足」の代わりだけではありません。ユーザーさんの命を守るパートナーなのです。
 
 「盲導犬を乗せたら車が毛だらけになった」と言ったタクシーの運転手さん,じつは,あなたにはするべき事があったのです。文句や批判を言う前に,ユーザーさんに一言注意することです。それは,決してお節介でも大きなお世話でもありません。誰だって気が付かないことがあると思います。もし,気が付いたならそれを知らせても良いでしょう?私は,知らせるべきだと思うのです。

 そこで,こういうことが起きないよう『アシスタンス・ドッグ同伴可シール用冊子』に書かれてある「アシスタンス・ドッグにしてはいけないこと してほしいこと」をここで紹介しておきましょう。

         ……してはいけないこと……
@盲導犬・介助犬に関して:

1:声をかける,触れる,口笛を吹くなどの行為で,犬の気持ちを
 散らさないでください。
2:食べ物を差し出したりしないでください。
3:危害を加えたり,仕事の妨げとなるような行動は罰せられます。
@聴導犬に関して:
1:事前にユーザーの許可を得ずに,触らないでください。
2:食べ物を差し出したりしないでください。
3:危害を加えたり,仕事の妨げとなるような行動は罰せられます。
            ……してほしいこと……
@全てのアシスタンス・ドッグに関して
1:座る場所…衛生面の配慮からではなく,人通りが多い場所よりも
 犬が休めるような場所をご指示いただければ幸甚です。
2:ハーネス等,装着が正しくない時には,ユーザーにご注意ください。
3:あまりに汚れ臭いがひどい場合は,ユーザーにご注意ください。
4:周囲の方々にご迷惑になるような行動を訓練犬が行った場合も,
 ご注意ください。

上記掲載内容は,NPO法人「日本聴導犬協会」に著作権があります。
無断での掲載・コピー等は禁じられています。
(許可を得て,転載しました:はなべ〜)



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